日本近代詩の中の〈海洋〉― 〈抒情〉の海から〈観念〉の海へ ―

서지정보

· 발행기관 : 국립부경대학교 인문사회과학연구소
· 수록지 정보 : 인문사회과학연구 / 16권 / 1호 / 159 ~ 180페이지
· 저자명 : 최연희

초록

本論文の目的は、日本において十分育たなかった文学ジャンルの一つである海洋詩の意義を考えることで、日本近代文学の新たな側面を探ることにある。海がもつ、複雑で多様なイメージは、文学の形象に重要な背景を与える。まず、海に関するイメージの拡がりについて、いくつかの作品を例に挙げて整理したのち、海への注目によって陸の世界が相対化される文学を海洋文学と位置づけ、安定した陸地に住む定住者が描く日本文学の伝統が、不安定で、単調な海上の、非定住者の視線によって相対化される詩に注目した。国境を越えた大洋を舞台にする文学だけを海洋文学と呼ぶのではなく、海の形象を通じ、陸の世界（定住者の論理）が相対化される文学も、海洋文学と呼ぶことにしたい。注目した詩は、萩原朔太郎の「月光と海月」と金子光晴の「くらげの唄」である。日本の抒情詩が描いた海のイメージが、萩原朔太郎の詩あたりから変質していることを本稿の中で明らかにした。萩原朔太郎と金子光晴の詩に表された観念的な海の形象が、陸の世界（定住者の論理）を相対化しているさまを、二人の詩のなかに登場する「くらげ」のイメージから細かく検討した。萩原朔太郎は、人間が生きる世界をマイナスの世界と捉え、海の世界に憧れ、人間とは対極の姿をした「くらげ」をその理想形とし、それを掴まえようとした。一方、金子光晴は、人間が生きる世界をプラスの世界と捉えたが、現実社会は人間から人間らしさをはく奪し、骨を奪われた「くらげ」のような存在に変え、海に放り出されるイメージを描いた。両者の詩の「くらげ」は対照的だが、ともに人間世界の現実を色濃く照らし出していることにかわりはない。朔太郎は人間の暮らしが息苦しくて海へ泳ぎだすが、光晴は人間の暮らしに水が押し寄せ、海となり、陸がなくなってしまった感を与える。日本近代詩の中の〈海洋〉は、中原中也が書いた抒情的な海から、萩原朔太郎が書いた観念的な海へと変化した。その世界は金子光晴に受けつがれ、谷川俊太郎へとつながっていったことを明らかにした。

참고자료

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